家を出ると、ベトナム人(たぶん)の若い男がノーヘルで原チャリをふたり乗りして通り過ぎていった。インドでは一家4人が原チャリ1台に乗っているのを見たが、こう暑いとそういうことになっていくのかもしれない。もうこの街に住んで8年が経つが、半分くらいいる移民の内訳もちょっとづつ変わってきた気がする。
夜、ベランダに出て煙草を吸っていると、向かいの丘のてっぺんにある煙突から出る煙が、そのまま垂直に立ち上がる白板のような大きな雲になっている。薄墨色の空にルネ゠マグリット的なのっぺりした白い雲。この光景も見慣れたものだが、いまだに、煙突がゴミ処理場のものなのか火葬場のものなのか、そして本当に煙がそのまま雲になっているのか、わからないままでいる。それはマンガの吹き出しにも見える。