5月17日

 夢。海の方から戻ってきた人にどうでしたかと聞くと砂浜がなかったと言うので、堤防に色分けしたシールを貼ってこちらから向こうが砂浜かどうかわかるようにすればいいのにと言った。地元も大阪も横浜も、今まで住んだところはどこも海は近いが砂浜は遠かった。横浜のポストカード的にティピカルな表象は海からみなとみらいを眺めて、観覧車や三日月形のインターコンチネンタル、ランドマークタワーの向こうに不自然に拡大された富士山が写っているものだ。実際そういうポストカードをたくさん見つけて、面白がってひとつ買ったが引っ越しのときに捨てた。荒波に船がのけぞっている有名な北斎の絵は横浜の本牧から描いたらしいが、波間にちょこんと見えるこの富士山の方が現実味がある。しかしあのポストカードは自身が海辺にあり、かつすぐ向こうは富士山であることを示すことによって横浜以西には関東が存在しないことにしようとしているかのようだ。東京をフレーム外に追いやり、富士山までの距離を圧殺することで。シンボルがないから外から閉じることでしかこの街はセルフイメージを作れないのかもしれない。その写真の撮影地点にあたる方角を陸側から眺めると狭い海が大黒埠頭の工場群と高速道路で囲われている。

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カテゴリー: 日記