6月28日

 有隣堂をぐるぐる歩いてクレメンス・J・ゼッツの『インディゴ』を買ってコメダに入った。訳者あとがきを読むと著者が29歳のときの本で、今の僕と同い年だ。冒頭から架空の本の引用、手紙や診断書の挿入が続いて、ちょうどそういう変な本が読みたかったのでよかったのだけど、本筋(?)の冒頭に出てくる長い会話がかったるいなと思った。途切れがちでちぐはぐな応答とちょっとした仕草がぶつぶつと描かれる。リアルな会話ってこういうものだよねという感じで、アンニュイな雰囲気だけの現代演劇を見ているようで逆に押し付けがましく感じてしまう。これは良し悪しというより気分や性格の問題で、たぶん僕は6年くらい哲学の研究をやってきていつのまにか地の文人間に改造されたんだと思う。それまでは小説ばっかり読んでいたけど、そのときどういう気分で会話を読んでいたのかもう思い出せない。

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カテゴリー: 日記