8月7日

 西へ向かう。左手にえんえん宍道湖が見える。出雲大社の前を通りがかって北に折れて、海沿いの曲がりくねった道を抜けると日御碕に着く。真っ白い灯台の麓に、細かい角柱が敷き詰められたような崖が広がっている。またぐねぐねと車を傾けて戻る道から見る海は西側に張り出してきた分厚い雲の鈍色を反射していた。街中を運転しているときはそんなに意識しないが、崖に沿って繰り返される細かいカーブを曲がっていると、ハンドルを倒す方向に首を振るだけでなく頭の位置をずらすことが大切だと気づく。フロントガラスの横にある柱を顔の正面に置くようなかたちで。マーク・チャンギージーが、人間の眼が正面に並んでいるのは眼前の障害物を透かして見ることができるからだと言っていたのを思い出す。しかしあの柱はなんなのか。車幅の感覚は自分の体の延長として体得される(べき)みたいなことはよく言われるけど、あの柱はそういうサイボーグ的な説明図式に収まるものなのか。

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カテゴリー: 日記