9月15日

Dos Monosの新しいアルバム、『Larderello』を部屋を歩き回りながら聴いていた。ヒップホップはぜんぜん詳しくない、というか、あらゆるジャンルの音楽にぜんぜん詳しくないのだけど、トラックの感じがビートドリブンというよりギターやシンセサイザーの質感が迫って来るようでカッコいい。とくにギターのありかたが素晴らしくて、シューゲイザーとかフェネス(のアンビエントじゃないやつ)を思い出しもするのだけど、スペイシーな感じはなくまさに「暗渠」を流れる川のような迫力がある。あと、こういう音響だとなおさら没のラップが活きると思った。多くのラッパーは頭ごと握り込んだマイクに声を込めるような発声をすると思うのだけど、没の発声は胸を開いてトンネルに響かせるような発声で——とくに「あ行」の破裂感。ババババー!ワワワワー!と聞こえるのはb-b-b-bird, w-w-w-wordと言っているらしい——トラックの上物とあいまってロック的と言えるような激しさがある。

最後の(skit)から21世紀ノスタルジアの流れが感動的で、繰り返し聴きながら中学生の自分に食わせてやりたいなと思った。物理ボタンでディスプレイもないiPod shuffleにオーディオテクニカの2、3千円のイヤホンを挿して自転車で音楽を聴いていたときの、たぶんいちばん音楽が好きだったときの自分に。ヒップホップで好きだったのはテリヤキボーイズのHeartbreakerとA Tribe Called QuestのElectric RelaxationとSoul’d Outのイルカの3曲だけだけど。

思い出していたらそういえばあの頃2回ひき逃げされた。いちどめは下校中で交差点を左折してきた白い軽四に自転車の前輪を持っていかれるかたちでぶつけられた。ぶつかる瞬間に運転席のおばちゃんの驚いた顔が見えた。ちょっと投げ出されるくらいだったのですぐ起き上がるともう車が動き出していて、自転車を起こしてすぐに追いかけたが振り切られてしまった。もうひとつは夜道にまた自転車で走っていたら真後ろから結構なスピードでぶつけられて、気づいたときには地面に寝ていて後輪がひしゃげた自転車が車と自分のあいだに転がっていた。黒いワゴンRから3人くらいの男が降りてきて、大丈夫?と聞かれて大丈夫ですと言って起き上がると大丈夫なんならええよなと言って車に戻って行った。そのうちひとりが同級生の兄だったので翌日学校で昨日お前の兄ちゃんにひかれたぞという話をしたら兄ちゃんは車を持ってないと言って話が終わった。

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カテゴリー: 日記