10月3日

サンマルクにベトナムコーヒーがないなんて!という話。用事があって目黒に行って、駅周辺で煙草が吸えるところを探してサンマルクカフェに入った。サンマルクではいつもベトナムコーヒーを飲むことにしているのだけどメニューに見当たらず、ベトナムコーヒーってないですかと聞くとありませんと言われて、アイスカフェラテを頼んだ。もう販売終了しているようだ。ベトナムコーヒーを初めて飲んだのはハワイだった。ワイキキの真ん中から西に歩くとだんだんうらぶれた感じになってきて——背の高い黒人のミニスカートを履いたトランスの人らがたむろしていて怖かったのを憶えている——ダウンタウンを越えたあたりにチャイナタウンがある。そこもそんなに栄えた感じではなく開いている店もまばらで、隅のほうにはベトナム料理店が並んでいる。聞くところによるとハワイの中国人は高所得者層が増えて小売業者が減り、そこにベトナム系の人らが流れ込んでいるらしい。セメントの床、座面が赤くてフレームが鉄の椅子、猫が1匹うろうろしている薄暗い店に入って、ビーフのフォーと冷たいベトナムコーヒーを頼んだ。麺の器と別に香菜が山盛りになった皿が出てくる。上に専用のドリッパーがついたカップと、氷が入ったグラスも出てくる。カップの底にはあらかじめ練乳がたっぷり入っていて、落としたコーヒーと混ぜてからグラスに移す。とりあえずそのままでフォーのスープだけ飲んでみて、それからどんどん香菜や辛いタレを入れながら食べた。本当に美味しくて夢中になって食べていた。フォーとコーヒーだけだったけど何かとても全面的な経験だった。あんな贅沢なフォーを日本で食べるのは難しいだろうし、あのトータリティのある種の形見としてサンマルクのベトナムコーヒーはあったのだけど、それもなくなってしまった。フォルダを漁ったらそのときの写真があったので貼っておく。日付は2016年3月22日。

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カテゴリー: 日記