10月9日

髪を切りに行く。3ヶ月以上切っていなくて、通りがかるガラス越しに見ると頭がもさっと膨らんでいる。ちょっとぶらぶらしようと早めに横浜駅に出たのに、着いた途端気持ちが失せて本屋で本を買って、はずれにあるドトールまで歩いて行って2時間ほど読んで美容院に行った。ひとしきり切ってシャンプー台に移るときにそういえばまた煙草値上がりしたみたいですねと言われ、喫煙席で燻されていたから匂いがついているのかもしれないと思った。通りに出ると路肩に右翼の街宣車が止まっていて、白い街宣車は珍しいなと思っていると聞いたことのないくらいの大音量で叫び始めた。他の音が吹き飛ばされて重さのない空間を歩いているような感じがする。「貴様ら」という二人称を使って北朝鮮に拉致被害者を返せ、ミサイルを撃つのをやめろと繰り返している。そうなるとこれは街宣ではなく呼びかけないし警告であるわけで、われわれはそれをたまたま聞いている第三者だということになる。横浜駅に戻ると拡声器に旭日旗のステッカーを貼った、こんどは黒い右翼の夫婦とすれ違った。男は黒いTシャツにチェックのシャツを腰に巻いて、雨ざらしになったボール紙みたいな合皮の編み上げブーツを履いている。この黒右翼はさっきの白右翼と関係あるんだろうか、しかしどうにも釣り合わなさそうだ。この黒右翼に横浜の路肩から日本海の向こう側に向かって叫ぶ狂気があるとは思えない。高島屋の脇にある喫煙所で煙草を吸って帰った。

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カテゴリー: 日記