12月5日

買ったカフェオレを飲みながら道端に立っていると小さなおばあさんが近づいて話しかけてきた。どうしてかわからないがおばあさんによく話しかけられる。何を言っているのかわからなかったが、スマホの画面を僕に向けている。どうしたんですかと聞くと、画面下部にある三つの物理ボタンのひとつの、メールのアイコンが点滅していて、それの止め方がわからないということらしかった。リウマチなのか指がこわばっていて、見慣れない画面で、何かしきりに話していて、終始画面に向かって俯いているので顔が見えず、突然夢の中に放り込まれたように意識がまとまらなかったが、それで困っているらしいということはわかった。僕も自分が何を言っているのかわからないままに彼女の側頭部に向かってとにかく何かをハキハキ喋りながら、点滅しているボタンを押して、未読になっているらしいメールを開いて、それもひらがなだらけで何が書いているかわからず、家のマークの物理ボタンを押してホーム画面に戻ると、点滅が消えて、彼女は歩き去って行った。

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カテゴリー: 日記