12月16日

新宿に行って八木くんと私家版の打ち合わせをする。湘南新宿ラインから見える景色は春のようだった。いまだに新宿の駅と周囲のランドマークの位置関係がよくわからない。どこから出ても知っているものがある。でもそれがどこなのかはわからない。打ち合わせは順調で、八木くんが印刷所の人とも製本所の人ともしっかり話しながら進めてくれているので安心感がある。彼らもこんな本は初めてだと楽しみにしてくれているらしい。別れて伊勢丹で彼女のプレゼントを探してみたがピンと来なかった。久しぶりにギャルソンのレディースを触ってみたが、なんだか出来の良さばかり目についてしまって、もう中年の服なんだろうなと思った。毛先を緑に染めた店員の話し方まで親切な枕屋みたいだ。ひょっとして僕が親切な枕屋モードで話すべき客だと判断されたのかもしれない。伊勢丹の服売り場は、特別に内装を施されたブースのブランドと、名札のついたハンガーラックだけのブランドに分けられている。子供が互いに指を差して誰かに——誰に?——言い訳しあっているような空間だ。地下鉄で馬喰横山まで行ってαMで高橋大輔の個展を見て、表参道でいくつか路面店を回ってプレゼントを買って帰って、袋のままクローゼットにしまった。

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カテゴリー: 日記