日記の続き#2

あの知らんおっさんは今何をしているのだろう。彼のほうが肩身の狭い思いをしていたのかもしれないと思うと申し訳なくなってきた。真っ暗なのでスマホを開くのも気が引けるし、イヤホンのノイズキャンセルだけ付けて、正面のカーテンから透ける電灯の光が飛び去っていくのを眺めていた。浜松のサービスエリアで休憩。午前3時半。煙草を吸って戻る。YouTubeで「sleep classical music」と検索して最初に出てきたプレイリストを開く。最初は「ジムノペディ」か「月の光」だろうなと思ったら「月の光」だった。やれやれと思ったが結局眠っていて、草津に着いたのが6時。煙草を吸って戻って、京都に着くまで朝日がちらつく車内で自分の位置が動くのをGoogleマップで眺めていた。

地方で育った人間にとって、東京はバスタ新宿から始まる。強張った体を引きずって目についたマックで朝食を食べる。大量の紙袋を持った老人がテーブルに突っ伏している。悪そうな中学生が店の電源で髪を巻いている。バスタが「バスターミナル」の略であることに気づいたのはずっと後のことだ。これはいつの記憶だろう。高速バスもマックも、そういう分身的な記憶の殺到が起きやすい空間だ。