日記の続き#90

暇な時間が多いわりに何もしていないとずっと何かを考えてしまうので家で何をして過ごすかというのは結構な問題なのだが、ここのところよくなかやまきんに君のYouTubeを見ている。とくに2ndチャンネルをよく見るのだが、ここにはただ30分ほどきんに君がトレーニングや栄養学について特定のトピックを喋るだけの動画がまとまっている。長さもちょうどいいし、BGMもないし、あらゆる間を詰めるような編集はされていないがよく準備されているので適度に冗長だ。彼の話は情報に底があるので聞きやすいのだと思う。個別の知識がどれもある程度学的に裏付けされているということもそうだし、何より彼の体がエビデンスだ。エビデンスが喋っている。ひとり語りなので相手の話の機微に滑り込むことへの芸人的な衝迫もない。頭のなかをぐるぐる回っているのはそれが高級なものであれ低級なものであれ底のない思いなしばかりなので、聞いていると気が楽になるし、短髪でタンクトップに白い歯と筋肉いうビジュアルの奥行きの浅さもいいし、喋っているだけなので映像は見ても見なくてもよくてそれも楽だ。頭を休ませるために適度な情報が必要というのも変だが、とにかくきんに君の動画はその観点から見てパーフェクトにちょうどいい。脈絡なく投げ込まれるギャグも屈託なくナンセンスで、「ただちょっと笑ってほしい」のだという素直さがある。バケツの底を雨漏りが打つようなあっけなさ。彼と「健康ボーイズ」を結成しているサバンナ八木の「パナキ」というギャグは、客からしりとりのお題をもらって即座に「イカ、カニ、ニク、クジラ、ラッパ、パナキ」の流れに引き込むというものなのだが、どこから始まっても「パナキ」に行き着くことの可笑しさに似たものがある。パナキとしての筋肉。筋肉のような情報。