日記の続き#99

昨夜、新幹線で日記を書いていたときの話。車内が寒かったので鞄から薄手のカーディガンを出して着た。薄手のカーディガンを鞄に入れておくといい。夜ののぼりのひかりの車内は空いていて、それで空調の効きがよかったのかもしれない。昨日書いたとおり一日移動づけで、体が強ばって疲れていた。眼鏡とマスクとイヤホンで耳まで疲れている。イヤホンとマスクを外して鞄の中の文庫本を3冊テーブルに載せる。正岡子規『病牀六尺』、フーコー『知の考古学』、チョムスキー『統辞構造論』。変な取り合わせだが僕のなかでは一貫性のある3冊だ。疲れているので『病牀六尺』を手に取る。「あるいはよそにて借りたる傘を返却するに際して梅の枝を添へて送るにやあらん」という一文を明日の日記に載せようとメモした。両手にそれぞれ傘と梅の枝を持った絵があって、それを見て傘が借り物で梅が贈り物だと思う発想はどこか変で面白いと思ったのだが、一日経ってみるとどう面白いと思ったのか思い出せない。子規の体は六尺の布団が広すぎると感じるほど弱っていたが、他方で僕は六尺のヨガマットでいいからストレッチができる空間がほしい、どうして世界はこんなに広いのに寝転んでストレッチできる場所がぜんぜんないのかと腹を立てていた。家に着いたのが11時半。お風呂に入ってストレッチをして寝た。胸郭がパキパキと音を立てていた。