12月24日

大戸屋でカキフライを食べて、夕方のイセザキモールを歩いていると、前を歩いていたおじいさんが転んだ。それはつまずいたとか、めまいがして膝から崩れたとかそういう感じではなく、本来であれば「遊び」として処理されるような微細なズレが適切にフィードバックされず、本人もいつから転び始めたのかわからず、気づいたら手に負えなくなっていた不均衡に静かに降参するように尻もちをついていた。座り込んでいる彼の正面にしゃがんで大丈夫ですかと聞くと、二度目に彼は頷いた。目を覗き込むと焦点は定まっていて、ちゃんと力がある。顔色も悪くないし、デニムジャケットにセーターにニット帽をかぶっていて、それは自分で選んだ服に見えたし、まあ大丈夫だろうと思った。彼の表情に僕に対するかすかな怯えが浮かび上がってきた。いつの間にか転んでいて男に話しかけられている。もういちど聞くと強く頷くので、立たせるのはやりすぎだと思ったのか、彼のまなざしにいたたまれなくなったのか、立ち去ることにした。

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カテゴリー: 日記