日記の続き#14

4月20日
京都。朝9時に家を出て、新幹線に乗って、京都駅の英国屋で昼ご飯を食べて、この日記を書いている。先週もここに来た。テラス席があって煙草が吸える。真夏真冬以外はここに来ることにしよう。新横浜の改札を通ると、上下ピンク色の作業着にピンクのサンバイザーと、ピンクのシュシュまで着けたおばちゃんがとても大きい声で「いらっしゃいませ!」と言って、片足をかすかに引きずりながら、しかししっかりとした足取りでゴミ箱まで歩いて行った。ゴミ箱には同じ格好のおばちゃんがいて、ふたりでゴミ袋を取り替えている。新幹線の改札でいらっしゃいませと言われるちぐはぐな感じと、その声の朗らかさに心を打たれた。待合に座ると在来線の改札を抜ける人々がガラス越しに見えて、しばらくそれを眺めていた。スーツを着た男がNew Eraのショップバッグを持っていて、この人も休日はキャップを被ってスウェットパンツに溶岩みたいなスニーカーを履いてるのかなと想像したりして、なんだかすべてが愛おしいような気がした。箱根あたりのトンネルがちな区間で、くぐもった走行音をヒーーという高音が切り裂くのをずっと聴いていた。新幹線の音は新幹線に似ている。