日記の続き#32

ここのところずっと博論本の第三章の執筆をしている。平均して1日2000字ほどずつ進んでいると思う。リライトにしてはずいぶんな遅さだとも思うが、リライトだと思わないようにしているのでしかたがない。博論は読み筋を通すのに手一杯で、細かい証拠と注釈の列挙に終始してしまったところがあったが、いまはそこから距離を取って文章そのものの大きな流れを組み立てている。これがいま取り組んでいることで、いつもそうなのだけどそれに加えて、書くことが決まっているがまだ取り掛かってはいないこと、書くことが決まっているわけでもないがいつか書くことになりそうなこと、思いついたけど書かなそうなこと、だいたいこの4つくらいの惑星軌道が頭の中にあって、その上をぐるぐると考えが回っている。何かひらめくというのは惑星直列みたいに近くのものと遠くのものを繋げる回路が見つかることで、いつもいま書いているものからいつか書くものを透かし見たり、その逆をしたりしている。この場はそういう往還のあいだにどんどん溜まっていく澱のようなものを吐き出す場でもあり、星の比喩を引っ張るなら思いがけない彗星を書き留めたりする場でもある。つまるところ全部書くわけだが、気前がいいとも言えるが貧乏たらしいとも言える。どっちなのかわからないけど、もうそうやって生きていくしかないなというこれも諦めなのか立志なのかわからない気持ちに最近なっている。