日記の続き#74

6月19日。昼に起きて配信でTHE MATCHを見た。前半の試合が終わった頃に出かけていた彼女がビリヤニを買って帰ってきてくれて一緒に食べた。最後の那須川天心があまりに強かったので、それまでの試合の幻想が吹き飛び、彼がいなくなってしまったキックボクシングは本当に焼け野原になるんだろうなと思った。それにしても彼と武尊がこのリングで3分3ラウンドふたりきりになるためにこれまでどれだけのものを積み上げてきたのかと考えると、本当にすごいことだと思う。ふたりになるというのはこれだけ大変なことなのだ。対話でも議論でも闘争でも批判でもポジショントークでもなんでもいいが、そういうもので何かしらの関係や地位を作れると思っている人らに、あのふたりが6年間、それぞれが約40試合負け無しで闘い続けて初めてやっとリングで向かい合うことができているという事実を、あなたがたはどう考えるのかと聞きたくなるようなよくわからない怒りがこみ上げてきた。同時に、この試合が実現したという事実は、単純にルールや制度に乗っかったのではないところで自力で、それぞれがあらゆるものを動員して、フェアな関係を作ることができるということをあらゆる関係の非対称性が言われるこの時代に示しているわけで、それはどこまでも素直に尊敬するべきことだと思った。