日記の続き#82

思えばおとついあたりからその予感はあったのだが、今朝目が覚めると風邪を引いていた。いつも風邪の引き始めはそうなるように喉仏から左に2センチくらいのところがピンポイントで腫れていて、ものを飲み込むのもつらい。熱を測ると37.4℃で、発熱外来を予約せねばと思ったのだがまだ時間外で電話が通じず、気づいたら眠っていて起きたら午後3時だった。熱は38.5℃まで上がっている。あらためて電話すると思ったよりスムーズに予約できて、4時45分きっかりに専用の入り口のインターホンを押してくれということだった。寝ているのも座っているのもつらいので、武尊の活動休止記者会見を聞きながらシンクに溜まっていた食器を洗った。僕は病院に行くときはなるべく明るい格好をすることにしている(おじいちゃんおばあちゃんに元気を与えるため)のだが、今回は終始1畳くらいのソファと空気清浄機だけがある空間に閉じ込められていた。いちばん似ているのは相米慎二の『風花』で小泉今日子が働いていたピンサロ店のブースだ。涼しいはずなのだがあとからあとから汗が出てくる。問診票の職業欄を空白にしていたら仕事はないのかと聞かれた。「ないのか」ってなかなかの言い方で感心した。マスクにフェイスシールドと半透明のガウンで全身を覆った看護師が入ってきて、先端にカメラがついた管を鼻に入れて喉の様子を見て、次はコロナの検査用の綿棒で鼻の奥をこすって出て行った。どれくらい待つんだろうと思うまもなく戻ってきて、陰性だと言ってPCR検査もするかと聞いた。PCR検査もする必要があるのかと聞くとないということだったので断った。汗が止まらない。喉が痛い。内臓が疲労して凝り固まっているような怠さがある。とりあえずコロナじゃなくてよかった。帰ってまた寝て、彼女が作ってくれたとろろと卵のぶっかけうどんを食べて薬を飲んでまた寝て、起きたらまだ38.0℃あった。