日記の続き#131

八月の30年——14歳

誇張でなく毎日のように10キロ以上走っていたと思う。学校では陸上部で中長距離の練習をしていて、週に3日はサッカーのクラブチームで練習をして、サッカーがない日は夜ひとりで走っていた。中2のときに出た駅伝の県大会で最終区でふたり抜いて7位になったのが、スポーツにおける僕のいちばん優秀な成績ということになると思う。個人では800メートルで県の決勝に残るのがやっとで、サッカーは岡山西部の選抜の補欠がやっとだった。今の生活から振り返るとウソのようだが、同時にこの頃は小説や音楽という新しい世界を発見した時期でもあって、中3から不登校になることを考えればいちばん「文武両道」していた年ということになる。というか、状況証拠から考えるとそうなるはずなのだが、地面が足を蹴るように走っていた感覚と下巻から上巻へと読んで何の疑問ももたず文章に没頭していた感覚とはあまりにかけ離れていて、実際のところ当時の僕が何を考えてどういう生活を送っていたのかというのはよくわからない。少なくとも学校では運動ができる人ということになっていて、読書は友達からも隠れてしていたことを覚えている。いちど自転車で図書館に行っているところを友達に見られて、翌日それをからかわれたことがあったからだ。