日記の続き#157

日記を3年やってそれを全部まとめた本の妄想を布団のなかでしていて「思想界の日常系シェヘラザード」というキャッチフレーズを思いついた。しかし厄介なのは語り部も僕なら、それがつまらなければ殺してやるぞと思っている不眠症の王も僕であることだ。これも「日記についての理論的考察」に書いてきたような循環のひとつの現れで、癒やしと強迫の絶えざるバックの取り合いとして日記はある。そこからさらに、かつて書いた日記をもとにそれを書いている自分を想像して書くという、裏返しの日記の企画を思いついた。昔の日記を読んでいて不気味なのは、当時は自然な並びとして書いたはずの文のそこここに復元できない亀裂が走っていることだ。それをまた別のしかたで、あからさまな嘘も含めて埋めていくこと。これはジャンルとしては小説ということになるだろうが、同時に輪をかけて自閉的な行いでもある。僕はどうしてか自分を自分の外に切り離した状態に置いておくことについて奇妙な執着があると思う。