日記の続き#174

学期が始まって京都に向かう新幹線に乗っている、と、今朝見た夢を思い出した。同世代の子供が集められどこか知らない土地にいて、旅行しているというより連れて来られているという感じで歩いている。隣にいる女の子が走ろうと言うので一緒に走ると、それに合わせて川の反対の河川敷の上に直線の虹が浮かび上がった。彼女はこの土地の人間で、ここでは光と大気の関係が他の場所と違っていて、光に対してある角度で走るとそうやって虹が見えることを知っているのだ。速度を上げると虹が濃くなって、床屋の看板みたいに斜めによじれた色の帯がくっきりする。しばらく走って虹を見てから、もしかしたら彼女は僕とふたりになりたくて走ったのではないかと思う。その可能性について考えながら黙って歩いていると空き地で暗い顔をしたおばさんがテーブルの前に立って「現象」をやっていた。そこはかつてコンビニだった場所で、かつてレジだったところにテーブルを置いて立つ「現象」が彼女の仕事なのだ。というところで目が覚めて、なんでこんな新海誠ふうの夢を見たんだろうと思った。たぶん京都に行くので昨夜から移動の予感があったこととか、西日本と違って東北は主要道が南北に伸びていて、景色の構成要素はそっくりなのに見え方がぜんぜん違ったこととか、ハーマンがフッサールについて書いた文章を読んだこととか、そういう思いなしが混ざったんだと思った。