日記の続き#212

酉の市の一の酉。家の前の通りが歩行者天国になって、韓国料理の屋台と焼きそばの屋台のあいだを抜けてアパートを出る。屋台よりもとからあるお店で買って何か食べようと言って、タイ料理屋のソーセージを買って食べる。レモングラスのような風味が付いていて、春雨のようなものが混ぜ込んである。熊手が三本締めとともに送り出されているのを眺める。商店街の韓国惣菜屋でキンパを、果物屋で串に刺さったパイナップルを買って家に帰った。窓を開けていると部屋が喧噪で満たされて祭りのなかにあるみたいだ。静かになったと思ったら鉄パイプの屋台群がいつのまにかなくなっている。もうこの街に住み始めて6年になる。特別横浜にいる理由もないのだがどうしてか動く気がしない。近所——それはおおよそ大通公園と伊勢佐木モールを長辺とする長方形と重なる——がほとんど庭か盆栽のように何か多元的な指標として僕の生活に張り付いている。