日記の続き#218

『レヴィナスの企て』書評パネルの準備。メモは取らずに頭のなかで言葉が回るのに任せておく。とくに喋り仕事の場合、自分が現場で喋っている情景の妄想と一緒にアイデアが浮かんでくる。口先のトーンに引っ張られるかたちで内容も出てくる。結局超越が多層的だと何が嬉しいんですか? それが本書には書かれていないように思いました。散発的に出てくるVRやAIの議論は本書の趣旨とどういう繋がりがあるのでしょうか。ここだけ切り取ってしまえば本書が批判しているはずのハイデガー的な技術論に収まる話だと思うし、かえって本書の射程を見えにくくしていると思います。僕が渡名喜さんのお名前を初めて知ったのは『ドローンの哲学』の訳者としてでした。僕がこの本を読んでいちばん印象に残っているのは、ドローン兵器の遠隔殺人による触覚的リアリティの消失ではなく、ドローン兵は戦場に直接行く兵士よりある面で心理的ストレスが高いという話です。それは……ということなのですが、この点から考えれば多層性というのは……