日記の続き#221

結局学会では自分の発表以外ではほとんど誰とも話さなかった。梅田という街がそうさせたというところもあるが、よく言えば初心に帰ることができたのだ。誰とも仲良くなんてしてやるものかと思っていたし、つまんない発表は途中で出て行ってやればいいと思っていた。もう6年ほど前だが、前橋であった学会で、荒川修作について2人の中年の研究者が発表して、彼らが終始荒川を「荒川さん」と呼び司会の小林康夫について「小林先生に叱られないように」とか冗談めかして言っていた。今回はそういう東大表象同窓会みたいな感じはなく、初期メンバーが退官して40代の研究者が中核になってきているような雰囲気だった。善かれ悪しかれみんな優しくて仲が良い。疲れているだけかもしれないが。

昨日と同様空腹のなか会場に着くと、準備をしている人が福尾さんですかと声を掛けてきてどら焼きをくれた(本当に優しい人だった)。地階のスターバックスからケータリングされたコーヒーを飲んで、会場からZOOMに繋ぐ。会場に来たのは僕だけだったが、僕以外はちゃんと発表資料を準備していた。ZOOMだとどうしたって用意したものを話すだけで終わってしまうので内容についてはこれと言った感想はない。とりあえずアプリで時間に余裕をもって新幹線の座席を取っておいて、妻に頼まれたお土産のクッキーを梅田大丸で買って新大阪に向かう。その時点でまだ6時くらいだったのだが、改札に入ってしまうと時間変更ができないことをすっかり忘れていて、2時間も時間を潰さなくてはならなくなった。どこも人が満杯なのでホームに上がってベンチに座って眼をつぶっていた。気温が下がってくる。どうしようもなく疲れていて情けない気持ちになった。人が多すぎるのだ。帰るともう12時で、寝ている妻に声をかけて風呂に入ってストレッチとフォームローラーで体をほぐして寝た。