日記の続き#235

ふと子供の頃に初めて「自治」という言葉を意識したときのことを思い出した。それまで「自治会」とか「自治体」という言葉はおそらくニュースを通して聞いていて(周りで使われるような言葉ではなかった)、わらわらと大人が集まって話したり、草刈りをしたりしているぼんやりとしたイメージがそこにはくっついていた。しかし「自治」という言葉を単離するとそうしたイメージは消えて、それでもそれが何か大切なものを示しているような気がした。そこにはたぶん川上未映子の『わたくし率イン歯ー』の残響があって、頭のなかでいろんな言葉のうしろに「〜の自治」と付けてその感触を確かめていた。そのとき初めて「概念」というものの存在に触れたのかもしれない。