日記の続き#288

あるアイデアを思いつく。それ自体ではことさら新しいアイデアではないが、いま私がそれを思いついたことは絶対的に新しい。しかしそれをそのまま言ってもまた別の平凡さを呼び込むだけなので、私とアイデアの関係をつぶさに見て、それを客観的な何かに置き換える。そうすると新しいものができる。難しいのは新しいと思い込むことも、思いついた私を分析することも、自分への信頼がなければできないということだ。

関内のルノアールで作業をして外に出ると小雨が降っていて、地下鉄で帰った。ひとつ先に改札を出たひとのSuicaの残高が1円だった。スーパーに行くと「曲げたからこそ甘くなったネギ」が売られていた。メタフォリカルな気配がある名前だが、たんにネギというものは曲げて育てると甘くなるのだろう。しかしネギが甘くて嬉しいかというと微妙なところだ。パスタにしようと思って春菊と舞茸とアンチョビを買って帰ったが、こないだ作ったソフリットがまだ余っていたのでそちらを使った。