日記の続き#308

高校生が回転寿司屋で回っている寿司に唾を付ける動画がSNSで拡散されて、たちどころに企業の株価が下がり(そして以前より上がり)、本人の身元が特定され、自主退学に追い込まれるということがあった。牛丼屋の紅生姜を容器から直接食べたり、アルコールスプレーにライターで着火したり、同様の「迷惑行為」が次々と投下される。「バカッター」や「バイトテロ」という言葉は10年くらい前からあったはずだが、今回の騒ぎについては動画を拡散し消費する側の攻撃的な心性が目立っているように見える。ある種のラッダイトとして上手くいきすぎてしまったのだろう。アクリル板の迷路になったコントロール社会に逃走線を引く数滴の透明な爆弾。しかしくだらない冗談はくだらない冗談なのだ。最近よく聞くようになった「距離感がバグっている」という言葉も思い出す。過度に馴れ馴れしいという意味で使われるのだが、SNSの画面越しに「迷惑」を断じるなんてそれこそ距離感がバグっている。それをドンピシャで逆撫でしてしまったのだ。とはいえくだらないものはくだらない。