日記の続き#349

スーパーのレジ。店員が商品をひとつずつバーコードリーダーにかざしていく。硬いものから取り出し、手の中で回し、中空でバウンスさせるように、あるいはそこには水の張った桶があって、商品をそこにちょっと浸さなければならないかのように、さっと赤い光を当てて反対側のカゴに並べていく。牛乳、チョコクッキー、牛肉。彼は読み取りの閾値と戯れているように見えた。ピッという音がなる前にもう手は上昇を始めている。あるいは日によっては、読取り部の前で折り返すのではなく、もっと下から舐めるように持ち上げながら読み取らせるのかもしれない。卵、食パン、菜の花。彼はポイントカードはお持ちでしょうかと聞く代わりに、商品をすべて読み込んだあとに空になったカゴを引っ込めて手持ちのバーコードリーダー(カードはそれで読むのだ)に持ち替えながら体を起こして、0.5秒ほど意図的な空白を作り出した。胸の前で手を振りながらカードないですと言うと彼はリーダーをホルダーに戻して、カゴを精算機の横に置いてありがとうございましたと言った。

寒くなってからジムもストレッチもサボっていて、腰が痛いのと寝付きが悪いのとで悪循環が生まれつつあったので、夜中、着替えてジムに歩いて行った。有酸素運動のフロアに行って、走る気分ではなかったので手足をバタバタと動かす機械を使ってみる。隣のひとの真似をすると、なんだか後ろ向きに歩いているような脚の動かし方になるのだが、気にせずに15分漕いだ(あとで調べてみるとやはり普通は前に向かって踏み込むように使うようだった)。マシンから降りると前までなかったローイングマシンが追加されているのに気付いて、2000メートルに設定して10分ほど漕いでみた。腰と肩をしっかり動かせるので今度からこっちにしよう、帰ったら動画でフォームを確認せねばと思った。マットの上でゆっくりストレッチをしてからウェイトトレーニングのフロアに移って、滑車で下から持ち上げながら懸垂とディップスができるマシンで懸垂とディップスを交互に3セットやって、バーベルスクワットを3セットやって帰った。