日記の続き#351

『ホワイトノイズ』に続いて荒川徹『ドナルド・ジャッド——風景とミニマリズム』を読んだ。どちらも水声社の本だ。水声社はAmazonに卸していないので、他のサイトで注文するときにいきおい同時に複数買うことになる(Amazonへの抵抗は立派なものだと思うのだが、そうであればもう少し自社サイトを見やすくしてほしい)。デリダの『絵葉書II』とストラザーンの『部分的つながり』も同じときに注文した。しかしあの(!)「真理の配達人」が入ったデリダの『絵葉書II』がついに翻訳されたというのにぜんぜん話題にならなかった。

連載原稿でサンティアゴ・シエラについてミニマリズムの批判的継承という観点からちょっと触れようと思っていて、それで『ドナルド・ジャッド』を読んだのだけど、内容もさることながら、とてもよく書かれた本だと思った。研究対象に直接関わる作品や一次文献、二次文献の記述が文章のほとんどすべてを占めていて、よそから理論的リソースを持ってきたりすることもなく、事実の配置だけでこれだけ面白い話が作れるのかと驚いた。この本自体がジャッドの「系列的」な構築を反復している。人文系大学院生はこういう本をお手本にするといい。