「言葉と物」ももう第5回まで出た。9月末締め切りの回はこの時期は博論本に集中したいとお願いして前々から休載にしてもらっていたので、次回は10月末初稿締め切りで12月頭に出る。連載も博論本も、なんでも書けるようになってきた。とくに文芸誌の連載を、そういうものとして奇をてらうでもなくあくまで素直な自由帳のような場として使えるのは、運も大きいがここ5年くらいのいろんな側面での努力の帰結だと思う。それは日記を通して培ってきた書くことへの信頼でもあるし、最初に仕事をしたのはたぶんもう4年くらい前——まだ誰からも感想を聞いたことがない『全裸監督』論——になる編集者との関係性でもあるし、これでいいんだと思わせてくれるような読者が集まっているということでもあるし、リスクがあってもそのつど言いたいことは言ってきたという自負でもある。僕はいつも自分を怠惰な人間だと思っていて、それは自己卑下でもなくそういうものだなと思っているのだが、実はけっこうがんばっているのではないか。あの『群像』であれだけ堂々とリラックスして書けるのだ。あるんだかないんだかわからないエッセイブームなるものに乗るでもなく。たいしたものだ。