6月1日、6月2日(シットとシッポ公開収録@下瀬美術館)

総じて、荘子くんへの尊敬が深まった2日間だった。

1日の早朝に家を出て羽田から岩国空港に飛んで電車に乗り、広島の玖波駅で降りる。海沿いを30分ほど歩いて倉庫街を抜けたところに下瀬美術館がある。南に狭い海があり、北に山があり、そのあいだを東西に国道が走っているというだけで、魂のどこかが落ち着く。宮島を望む水盤に浮かぶ美術館は、そう言われているとおりの美しさだが、倉庫街と煙突だらけのコンビナートに挟まれ、後ろには大きなホームセンターとゆめタウンがある。「周辺・開発・状況」もそのような放埒さを認識・肯定させてくれるような展示だった。僕の地元に立地が近いのもあって、なおさら

ひとつめのトークでも話したが、恵汰さんがこれほどウェルメイドな展示を作るということ自体が僕にとっては驚きで、でもそれも、この美術館の立地や客層、収蔵作品の傾向といった、「土地」への彼らしい視点に基づいているのだと思う。もう10年ほどの付き合いになるが、僕とはぜんぜん頭の使い方が違うので話すたびに発見がある。

公開収録では荘子くんが昨日見た原爆ドームの話をして、しかもその「美的な」ありかたについて話していたので、内心かなり緊張しながら相づちを打っていた。ダークツーリズムやミュージアムの話に繋げながら、われわれが非当事者である前提を確認したりしたが、そういう良識的なフォローの空しさに気づいて後で反省した。なにより彼は現地に行っていて、僕は行っていないのだ。

恵汰さんと静文さん、荘子くんと車で広島市街のホテルに移動し、みんなでチェックインをする。歩いて鉄板焼き屋さんで4人で打ち上げ。気づいたら僕の財布がなくなっていた。

ホテルに戻って風呂に入って、僕の部屋で荘子くんと次に公開されるシットとシッポのタイトルを考える。僕が仮で「シットとシッポとギター」にしていて、まあまあなもののばらつきが後から面白く見えるのも日記的でいいじゃんと適当なことを言ったりしていたが、本当は早く寝たかっただけだ。

2日の朝、4人で車に乗ってうどんを食べて広島駅前の駐車場に車を返して新幹線に乗る。荘子くんはずっと頭を揺らしながら曲を作っていたが、僕は10行ほど原稿を進めたところでスタックして本を読んだり外を眺めたりしながら気を紛らわせていたが、途中で観念してもう3日待ってくれと編集者にメールした。

投稿日:
カテゴリー: 日記