6月20日(グレッグ・イーガン)

授業のリアクションペーパーの採点。グレッグ・イーガンの「貸金庫」と「百光年ダイアリー」について話した回で、冒頭にイーガンを知っているか訊いたら200人中ゼロ人で、『三体』やテッド・チャンについても5、6人手が挙がるだけだった。でもやってみたら、これまでの10回でいちばん反応がよく、リアクションペーパーの内容もふつうに考察として面白いものが多かった。やはり物語というものは強いのだなと思う。

日記論で難しいのが、『アンネの日記』にせよカフカやウィトゲンシュタイン、あるいは島尾敏雄のものにせよ、 日記そのものを取りあげても、個々の日記自体は当然たんなる日記なので、なかなか理論的な議論に繋げづらいということだ。その点、イーガンの短編は、ダイレクトに日記にかかわるものでありながら作品そのもののうちに書くことと生きることをめぐる問題が埋め込まれており、こういうものを見つけるのはなかなか難しい。

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カテゴリー: 日記