編集者からメールで『置き配的』の校閲が入った初稿ゲラが届く。紙は明日届く。
これはどういう本になるんだろう。批評、見て考えて書くこと、それがこんなに自由なんだということ、日々妥協している小さな恥辱の群れを、自分の生から切り離すことなく、それでもいつでもひとつの空間がチャンスとして開けているのを指差すこと、作るまでもなく存在していたものとの距離によって自分の制作を価値づけるのではなく、作られたもののなかで作ることはネガティブな条件ではないと示すこと、出来事に報いることで出来事を再創造すること、どれだけ書いてもせいぜいキロバイト単位のこの文章というものを、そのスカスカさにおいて、社会に存在する無数の凹凸に引っかけ、蜘蛛の巣あるいはハンモックのようなセンサー/寝床を作ること、そういうことの楽しさがまっすぐに伝わる本になればいいなと思う。
まだ着地点を探っている、大きく改稿する予定の箇所がいくつかあるが、パッチワーク的にそこだけ書き換えても、流れから浮いてしまうようにも思う。頭から順番に詰めていくのを優先して、改稿だと思わずに改稿できるくらいの感じになるといいのかもしれない。