何度目かの禁煙を破って馬車道のセブンで煙草とライターを買って、降り注ぐ熱波を受けながら吸っていると通り過ぎたおじさんが、カーゴパンツ型のグレーベージュのハーフパンツに、肩甲骨の輪郭が浮かび上がるようなくたっとヨレた白いTシャツをタックインして、茶色い皮のベルトが見えている。よく焼けた細いふくらはぎにアシックスのスニーカーを履いて、浅いキャップから白い襟足が出ている。ファッションはこういう自己完結的なお洒落さへの到達不可能性をドライブにしている。
昨日の夜、久しぶりに走ってみたらぜんぜん走れず、生まれて初めて走った翌日に腹筋が筋肉痛になった。かなり体幹がへたっているんだなと思って今夜も走った。初日は1キロ7分ペースで30分走って、信号で休んでもそれでいっぱいいっぱいだったのだが、二回目は信号で止まらずどちらかに曲がっても1キロ6分半ペースで30分走りきれた。とりあえずしばらくは30分のペースを上げていきたい。
日中行ったり来たりしているイセザキモールではなく、大通り公園と関内の飲み屋街を抜けて山下公園に出て、大桟橋やみなとみらいの夜景、本当に倉庫らしく静まっている大きな赤レンガ倉庫を横目に走る。表の横浜の景色を通り抜けながら、頭のなかで「めくっている」という言葉が反響する。日の当たる裏横浜で仕事をして、夜のみなとみらいを走って、この街をめくっているんだ。