大和田さんと黒嵜さんと夜中にビデオ通話をした。日記を始めて二日目か三日目に書いた、栃木の車屋美術館での大和田さんの個展で、近くの河川敷に展示された《unearth》のための小屋が嵐で吹き飛んだらしい。その小屋は展示が終わって四年のあいだ、空っぽの状態で放っておかれていた。一部の破片は近くの中学校の校庭や田んぼにまで飛んでいっており、百頭さんを呼んで写真を撮り、ひとつひとつ集め、あらためて保管しているらしい。壊れてしまったこと自体には「けっこう冷淡な気持ち」だったようだ。他人の田んぼに入るのはけっこう怖かったが、踏み入れたときの、柔らかい泥の層と硬い底がはっきり分かれている感じは面白かったらしい。菓子折をもって田んぼの持ち主に謝りに行くとぜんぜん気にしていない様子で、なんか変なものが飛んでくることに慣れているからだろうと言っていた。