イセザキモールを歩いていると、道の真ん中でカートを押して、袋に入った鯛焼きを売っている女性がいて、最近よく見るようになったなと思っていると別の女性が声をかけて買っていて、こういうのって老人が騙されるものなのではないかと思った。ドトールに入ると、金髪と白髪が混じったレジの女性の感じのいい声色と手元の微妙な戸惑いのギャップが気になって、彼女がこないだまで近くのカフェ・ド・クリエにいた店員だと気づく。名札に初心者マークがついている。こんなに近くの店に転職して気まずくなったりしないだろうか。
有隣堂に寄ってクセジュ文庫の『ストア派』とレヴィ゠ストロースの『悲しき熱帯』上下巻を買う。家で『悲しき熱帯』を読んでいて、そうか、これは本当の旅が不可能になったあとの旅行記なのかと思う。