10月11日

気づけばここのところみすず書房の本を立て続けに読んでいる。シモンドンの『技術的対象の存在様式について』、レードンヴィルタの『デジタルの皇帝たち』、ヤコブソンの『音と意味についての六章』、スコットの『反穀物の人類史』。みすず書房は好きだ。いつ出た本だと言われてもおかしくないようなひっそりとした、でも平成的な余裕のあるデザインの、かちっと収まりのいい上製本。それは、僕がもっぱら読者であったときの読書の感じと結びついている。単純に、僕はおよそこれからもみすず書房で書くことはないだろうという、妙な安心感もある。僕は自分がハードカバーの本を作ることすらないような気もする。知り合いが書いていればそれだけで仕事の領域という感じを受けてしまうが、みすずはそういう圏域にもない。

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カテゴリー: 日記