昨晩寝る前、布団の中で、なにか、日記とは何かということについてひらめきがあったのだが、起きたら忘れていて、さっきそれが日記とは「死ぬときに思い出さないこと」を書くものだということだったことを思い出した。夢と同じで、入眠前の思いなしは目が覚めてみると文字通りなにか醒めた色あせた感じがするものだ。でもまあ、これはこれでひとつの真実ではある。死ぬときに思い出せそうなことも結構なものだが、生きるとはそういうものではない、言わばサイレントマジョリティによって成り立つことであって、そういうものに言葉を与えることが、本当は文学の機能であるはずだ。