日記の続き#76

ばらばらと買った本をばらばらと読んで、遅い昼寝から起きて、米を研いで炊飯器をセットして、この日記を書いている。今日は何を作ろうか。最近作ったもので言うと、こないだ作ったヒレカツは上手にできて、昨晩作ったパスタはちょっと凹むくらい失敗した。まあまあ料理はできると思っていたし、そのなかでもパスタは作り慣れているはずだったのだけど、小さな失敗が積み重なってぜんぜんおいしくなったのだ。彼女にパスタにしようと思うが何が入っていると嬉しいかと聞いて、スモークサーモンだと言うのでまいばすけっとでスモークサーモンとアボカドを買ってオイルのパスタにすることにした。最初の失敗は麺を茹でるお湯に塩を入れ忘れたことで、途中で気づいて具のほうに塩を入れて味を調節しようとしたのだけど、なんだかしょっぱさだけ浮いた感じになってしまった。アボカドは実が堅くて風味が浅かったし、作りながら入れることを思いついた舞茸はちょっとエグみが出ていたし、これはもう牛乳を入れてクリームパスタにするしかないなと思ったら賞味期限が切れていた。料理を失敗したときの独特のやるせなさには、生活のゲシュタルトが崩れ去っていくようなところがある。彼女はおいしいよと言って食べてくれたが、彼女にしたってちょっと失敗するとすぐもう捨てると言い出すので、そのたびに僕がなだめるのだ。ゴミに意味を与え合っていくことで張り合わされる生活、その破れをラカンは現実界(英語だとthe Real)と呼んだわけだけど、生活はその大仰な闖入の大仰さを笑い合うことも含み込んでもいる。それにしても今日は何を作ろうか。お米が炊ける匂いがする。