2月13日

 地震が起きたとき彼女は泣いていた。泣いていると思われたくないだろうなと思ったので、箸を置いてガスの栓を確認して、棒で突っ張ってはいるがぐらぐら揺れている本棚をしばらく抑えていた。比較的大きく、長い揺れのあとでご飯の続きを食べた。

 ふたりでいるということに、そのときふたりでいるということ以上の何か、未来に向けた約束や社会に向けた承認が必要なんて不純なことだし、ひとりになる余地がなくなると思っていた。それでいままでも泣かせてしまったことがあったし、今回も結局はそういうことだ。そういうのはやっぱりガキっぽいんだろうか。「安定」を求めることをどこかで嗤われるかもしれないことをわかっていてもそれを求めざるを得ないのはどういう気持ちなんだろうか。彼女はもうけろっとしている。内心こわごわ冗談を言うと取り合ってくれた。

 冗談というものが世界にあってよかった。でもそこにもふたりでいる以上の、第三者に寄りかかった何かがある。まあそういう不純なものとの付き合いのなかでしか、ふたりにもひとりにもなれないのかもなと思いつつある。

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カテゴリー: 日記