2月10日

 夜中の12時。昼寝から起きた。眠りに入る直前、サイトの名前が自分の名前だとあれかなと思って、「流れの川」か「木の森」がいいんじゃないかと思ったが、起きてみると何がいいのかよくわからない。

 今日はひさびさにマックに行った。いつもダブルチーズハンバーガー、ポテト、コーラを頼む。マックでポテトをひとつずつつまんで食べているときにしか訪れない放心というか、解脱がある。この解脱とともに、あらゆるマックでの記憶が惑星直列みたいに重なりあって、自分がいつのどこにいるのかわからなくなるような感覚が味わえる。『インセプション』の、止まることによってそれが現実であることを教えてくれるコマとは対極にあるグッズがマックのポテトだ。中学生の頃に毎日コーラを飲むことを決めて、それから十数年飲み続けていたのも、コーラを飲むだけで他のコーラの記憶がいちどに呼び出せるんじゃないかと思ったからだった。さすがに毎日はもう飲んでないけど。ともあれマックのコーラはちゃんと美味しい。

 そういえば十三のマックは煙草が吸えたよな、と思い出した。「じゅうそう」と読む。淀川を挟んで梅田の北にある歓楽街だ。映画の研究をしていた学部生の頃、そこにある第七藝術劇場によく行っていた。タル・ベーラ『ニーチェの馬』を見たのも、若松孝二『ゆけゆけ二度目の処女』を見たのも、カサヴェテスのレトロスペクティブを見たのもこの映画館だった。映画館で映画を見たあとにしか訪れない、誰かに会いたいような誰にも会いたくないような感じを引きずって、ダブルチーズハンバーガーのセットで、ポテトとコーラを頼んでいた。修士に上がったくらい、つまり2015年くらいから喫煙席が無くなった気がする。マックで煙草が吸えたなんてウソみたいだなと思いながらポテトをつまんでいた。

投稿日:
カテゴリー: 日記