10月13日

ベッドに横になってしばらくして、体が眠気で痺れてくる。「動かそうと思えば動かせる」と「動かせない」のあいだの緊張で手足が静止している。そう、このまま寝ればいいんだと、唯一まだ冴えている頭を無闇に動かさないようにする。とはいえロープに立って両手で皿回しをするような複雑なバランスが要求される局面は一瞬のことで、そこを抜ければもう眠っているし、べつに寝返りを打ったって2時間も3時間も眠れないわけではないのだ。外から叫び声が聞こえてきた。最初どこかの犬がわめいているのかと思ったが、その声がだんだん近づいてきて「嫌だ!嫌だ!」という男の叫び声に変わった。よっぽど起きて外を覗こうかと思ったが、温かい蝋で塗り固められたように体が動かなかい。耳を澄ませて声が止んだのを聴き届けて眠った。

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カテゴリー: 日記