11月19日

日記を始めて10ヶ月経った。ちょうど雑談掲示板にもそういうコメントが来ていたが、更新を楽しみにしているという以上の、「救われている」というようなことを言ってもらうことがちらほらある。他方でこれもちらほら言われることとして、この日記を本にしないのかと聞かれることもある。これまでの約300日ぶんで17万字くらいあって、1年経つ頃には20万字くらいになるだろうから、たしかに立派な単著サイズではある。でも現に編集者からそういう話をもらっているわけでもなく、僕としてもどこかに企画を持ち込んだりする気もない。それはひとつには、書いている僕にとっても、読んでこの日記が何かちょっとした支えになっている人にとっても、やはり日々とともに書き継がれていく時間が書かれたものとセットになっていることが大事なんじゃないかと思うからだ。本にするとそういう時間は無くなってしまうし、遡って読まれるにせよ、このサイトの記事を辿っていくほうがここにそういう時間があったという手触りが感じられると思う。だから今は書籍化するとしても365部限定の私家版として個人的に出す——なるべくこの日記のもともとの読者に優先的に届くように——というあたりがちょうどいいかなと思っている。それで、今ふと思いついたのだが、例えばこういうのはどうだろう。365部限定で、それぞれが異なる日の日記から始まっていて、最初の日記がそのまま表紙になっている。1月20日から始まって1月19日で終わっているものもあれば、9月1日に始まって8月31日に終わっているものもある。同じ1年ぶんの日記の365通りのバージョンの本になる。それがこの日記が書かれるのと時間をともにしながら読んだ人それぞれに届けられる。素敵な感じがする。

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カテゴリー: 日記