日記の続き#286

京都駅を出てすぐのなか卯でカツ丼ランチを食べた。鶏団子が入った小さいスープが付いていて嬉しい。地下鉄で京都市役所前まで行って鴨川沿いのホテルにチェックインしていらない荷物を置いて、バスで出町柳に向かった。『近代体操』の刊行イベントで左藤さん、松田さんに呼ばれて黒嵜さんと一緒に4人でトークをする。冒頭から黒嵜さんも僕もわりと批判的なトーンで入ったのだが、ふたりがしょんぼりするでもなくむやみに敵対するのでもなく素直に返してくれたので話しやすかった。批評とは何かという問いについて、「ものを言う」ことが「何かを伝える」こととなる条件をそのつど、それぞれに作り(普遍的な条件は存在しないので)、実践することだと思うと言った。言質を取ったり作ったり、そういう置き配的な言論はもううんざりだ。もう何年ぶりだろうという打ち上げらしい打ち上げがあり、二軒目の安いバーのトイレの壁には様々な便器の写真が並んだ壁紙が貼ってあった。どの店も閉まってしまったので京大の研究室に移って残った8人ほどで喋る。もう東京ではこういうことは起こらないかもしれない。6年くらい前に道玄坂の上にある渋家のオフィスに押しかけて斎藤さんと黒嵜さんとひふみさんと朝まで喋ったことを思い出した。始発を待たずに眠くなったので百万遍の交差点でタクシーを呼んでホテルに帰った。朝4時なのに京都らしい応接モードの運転手で、ホテルの名前を告げるとちょうどそこらへんから来たんですわ、寒いから待たせたらあかんと思たんですけど、この時間やから4分ほどで来れましたと言った。今日はどちらからと聞くので横浜ですと言うと、浜っ子ですねと言われた。京大の近くにおったら一日かかりますわと言われて、意味がわからなかったので笑った。木屋町で飲むといいですよと言われた。ホテルオークラが景観条例の上限より高くてもオーケーになったいきさつを聞いた。お坊さんの声がそんなに大きいんですねと言った。風呂の蛇口をひねっておいて、ガス室みたいな掃除用具入れみたいな喫煙所で煙草を吸った。洗面所の洗顔料を取るために風呂場から身を乗り出すと、ガラスのドアが尻に当たって冷たくてびっくりした。