3月13日

夕方から元町で散髪。早く着いたので前から知ってはいたが入ったことのない、山の手に上がる坂の入口にある小さな古着屋に寄ってみた。色が綺麗だと思ったアメリカ湾岸警備隊のシェルジャケットやジバンシィのシャツを試着させてもらうが、どうもシルエットが野暮ったくなってしまう。ハンガーに力なく掛かった、茶色の太い畝がついた薄く柔らかい生地のコーデュロイジャケットのしっとりした感触が気になって羽織ってみる。デニムジャケットのような形で丈が短く、ゆったり作られた——もともとXLなので——袖が前腕に向かってしなだれる。内心もう買おうと決めて鏡の前に立っていると、店員に90年代のディーゼルですねと声をかけられる。いまのディーゼルがいいなと思ったことはないけど、これはいいですね、形がかわいくて、軽いしと言う。COMOLIやDAIRIKUからそのまま出ていてもおかしくない。いい買い物ができた。古着屋で古着を買うなんて何年ぶりだろう。買い物に来られたんですかと聞かれて、すぐそこの店に髪を切りに来たんですと言ったが、彼はその美容院のことを知らなかった。美容院で何か買ったんですかと聞かれ、すぐそこの坂の入口にある古着屋に寄ったんですと言ったが、彼はその店のことを知らなかった。

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カテゴリー: 日記