3月8日

 長めの原稿の依頼が来て、長い原稿だ!と思って安請け合いしてしまったのだけど、今になって書けるか心配になっている。まだ決まってはいないがたぶん締め切りは3ヶ月後で約6000字。それだけだと何とでもなりそうだけどテーマを決めるのが難しい。次に長めの自由度が高い原稿が来たら「日記の現代思想」みたいなものを書こうかなと思っていたのだけど、テーマ自由とはいえ美術の雑誌なのでそれはさすがに難しそうだ。インスタレーション論は去年もう書いちゃったし、大和田俊論も書いたばかりだし。何か他に作家論が書けるほど誰かを追っているわけでもなく、とりあえず「今美術にとって言葉とは何か」みたいな感じで書くかもですと言ってはいるが、こういう大きいテーマをいい感じに串刺しにするトピックなり事例なりが準備できるかどうかは運任せだ。絵画について書きたくなりそうな気もする。今までリー・キットと五月女哲平についてはそれぞれ展評を書いた。ピーター・ドイグ評は気持ちに余裕がなかったのとさすがに適任が他に山ほどいるのではと思い断ってしまった。言葉か絵画どっちかになりそうな気がする。

 それにしてもここ2年ほど商業誌からの依頼で言えば文芸誌と美術雑誌からのものばかりで、思想誌とか他ジャンルのカルチャー誌とかからぜんぜん話が来ない。いちど原稿料を倍にしろと言って喧嘩したからだろうか。安いだけでなく、まだ見てもいない映画について3週間で8000字という狂った依頼だった。どのみち原稿料で生活できるわけでもなく、楽しければタダで何字でも書く。この日記がそうだ。

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カテゴリー: 日記