3月7日

 先日出たロザリンド・クラウス『アヴァンギャルドのオリジナリティ』の改訳版を読んでいる。何か張り切ってしまい原書まで一緒に買った(これもすぐ届いた)。旧訳を読んだのは学部生の頃だったろうか。あの頃は確か松岡正剛経由で高山宏にハマっていて、それでストイキッツァとかディディ゠ユベルマンとかそういう哲学寄りの美術史が面白くてぽつぽつ読んでいた。ゼミや読書会——小倉さんや米田さんや平田さんといった、檜垣ゼミの院生がやっている読書会にキャンパスをまたいで押しかけていた——でドゥルーズを読みつつ映画研究をやっていたのもあり勢いポストモダン系の芸術論を手に取ることが多かった。のちのち美術批評を書くなんて露ほども思っていなかった。

 ともあれクラウスを読んでいると何か懐かしさを感じる。内容はまったくと言っていいくらい忘れていてむしろ新鮮な気持ちで読めるのだけど、彼女が闘っているもの、その手口に、こういう闘いの先で書いているのだなと、個人的なものでもあり同時に世代間に拡張されてもいる夜空ノムコウ的な気分になる(「あのころの未来にぼくらは立っているのかなぁ……」)。

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カテゴリー: 日記