3月13日

 こういう偶然は案外あんまり重なるものではないが、数ヶ月前の季節外れに暖かい日に近所の小学校の前を通りがかると、敷地を区切る高い柵の縞模様の影が歩道に投げかけられていた。そこを歩くと、縞を横切るのに合わせて速いリズムのストロボみたいに陽光が目を撃つ。試しに目をつむって歩いてみると柔らかくて温かいものでまぶたをとんとんと叩いているようでとても気持ちよく、早く止めないと今にも蹴躓くぞ、そしてこれは気持ちよすぎるぞと思って止めた。80年代にはシンクロエナジャイザーという、目に光を当ててトリップするゴーグルがあったらしい。調べたら今でも売っているが、家で暗い部屋に寝転がって熱のない光を浴びるより絶対に季節外れに温かい日を散歩しながら陽光のストロボを当てた方が気持ちいい。

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カテゴリー: 日記