4月2日

 いつ来ても新宿駅の周りは方角がわからなくなる。とりあえずニューマンやバスタ新宿のところから外に出てみる。バスタ新宿。地方出身者にとって東京はいつもこのターミナルから始まる。何度こわばった寝不足の体を引きずりながら早朝から開いていそうなマックを探して歩いただろう。少しだけ待ち合わせまで時間があるのでグーグルマップをじっくり見てみると、目の前の甲州街道とやたら広い歩道が駅を南北に分断している。駅から出たのに向かいのルミネに大きく新宿駅と書いてあって、どうして同じ駅が向かい合っているのかと混乱していたのだけどようやく理由がわかった。これが「南口」なのはまだ納得できない。「切り口」とかがいいと思う。「新宿駅切り口南側」。

 小田急ハルクの1階にあるピースという煙草が吸える喫茶店で待ち合わせる。『アーギュメンツ#2』が企画段階だったとき、2016年くらいにここにくろそーと斎藤恵太さんと来た気がする。やまひょうさんはもう来ていて、大和田俊が後から来た。思い出横丁を通って北から駅の東側に回り込み、歌舞伎町の入り口のアーチとかを眺めながら靖国通りをゆるやかに南下して新宿三丁目のどん底という、その名前にそぐわないイタリアンの居酒屋に入る。ふたりともウィスキーをいろいろ飲んでいて、酔いが回ってきたときの鼓動の速さ、顔の熱さを頭のなかで再現してみたりした。割り箸やストローの袋とか、アーティストはいつも手元にある小さい紙をいじっている気がする。散歩しようともっと南下する。御苑の輪郭をなぞっていくと広くて静かな場所に国会議事堂みたいな建物があって、調べると聖徳記念絵画館という建物だったが誰も知らなかった。それを眺めながら座って自販機で買ったコーヒーを飲んだ。もっと南下して外苑前に出て表参道まで下り、灯りの消えたブランドショップのウィンドウを眺めながら歩いて原宿に着いて、東横線に乗り入れている副都心線に乗って横浜に帰った。

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カテゴリー: 日記