4月3日

 しばらく前からしきりに彼女がミスドが食べたいと言っていて、店が川崎か根岸まで行かないとないので行ったことのない根岸の方に行くことにする。市営地下鉄で関内まで出てJRに乗り換えて南下する。駅を出るとすぐのところにミスドがあってドーナツひとつと坦々麺のセットを食べた。近くに大きい公園があるので行ってみることにする。山手の住宅街を横切って急な坂をぐねぐねと登ると根岸森林公園に出る。思っていたよりずっと広い。公園全体に大胆に起伏がついていて、芝生にはぽつぽつと日除けのテントが並んでいる。桜はもう見頃を過ぎているが気候もいいからか人が多い。公園を囲む遊歩道を歩くと馬の博物館があって、かつてここが競馬場だったことを知った。どおりで大きいわけだ。さっき歩いた瓢箪みたいに少しくびれた楕円の歩道は競馬のコースだったらしい。幕末のイギリス人が作って、明治にレースクラブへの日本人の加入が可能になり、天皇賞の前身となるMikado’s Vase——”cup”じゃないのか——が始まったりしたが関東大震災で被災し、太平洋戦争が始まると敵国外国人抑留所になり、終わると米軍に接収されゴルフ場になり、60年代に返還されたときには近代的な競馬場に求められる地形が変わっていたのか、公園として再整備された(いつか書いた横国大キャンパスの歴史に似ている)。博物館の隣にはポニーと遊べる場所があるがコロナのせいでポニーはいなかった。芝生の斜面に座って人がバドミントンとかキャッチボールとかをしているのを眺めていた。今は廃墟になっているスタンドから見下ろされ馬が競走していたコースが遊歩道になり、その内側でマスクをした人々がボールを投げ合っているなあと、なんか『奥の細道』の地の文(?)みたいな気分になった。バスで駅まで戻って、ドーナツを8つ買って帰った。

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カテゴリー: 日記