5月8日

 もう部屋着は半袖Tシャツでよくなった。夜に窓を開けていても寒くない。前の家は目の前が大きい道路で2階の部屋だったので窓を開けると車の音がものすごくうるさかった。あまりにうるさいので友達と通話していて外にいると思われた。確かにほとんど外みたいな家だった。1階が薬局の倉庫で、2階に2部屋だけ単身用の賃貸がある。内装はリフォームしたてで綺麗だったけど、構造が薄っぺらいのでトラックが走り抜けるだけで揺れた。音と揺れで最初のうちはろくに眠れなかったので、これが家なんだと思い込むことにした。車と風と地震でそれぞれ違う揺れ方をする。泊まりに来た人が地震?と言うと車だよと言う。ちょうどその部屋に越してきたときに佐々木友輔の「揺動メディア論」についての文章を書いたばかりで、家が揺動メディアになったと笑っていた。つねに分厚い遮光カーテンを閉めて電気をつけて、せめて光のあり方を内部っぽくしていた。夜外に出ると暗くてびっくりするし、昼外に出ると眩しくてびっくりする。横になって目を閉じると波打つ音と揺れに家の輪郭が紛れた。

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カテゴリー: 日記